2004年10月 アーカイブ

なぜ

第2回のコラムです。書きたいネタがいっぱいあって、何にしようか悩んでいるうちにまた掲載が遅くなってしまいました。

さて、表題の「なぜ」ですが、前回コラムの表題も「なぜ」という言葉から始まりましたよね。今回は、この言葉に対する私の拘り(というか、私の中では当たり前の言語なんですが)を語ってみましょう。

皆さん“Evidence Based Medicine”(エビデンス・ベースド・メディスン)という言葉をご存知でしょうか?日本語にすると「証拠に基づいた医学」といった感じになるんでしょうか・・・。なんやそれ!っていう言葉になってしまいますが、要はきちんと科学的に実証されたことをもとに、診療を行っていきましょうということです。全く当たり前のことが近年医学会で叫ばれているという、オイオイって状態なのです。今頃こういったことが見直されているということは、逆に言うと今まで医者が何の説明もなしに患者さんに対して様々な治療を勝手に試したことがあったということ!?いわゆるInformed consent(インフォームド・コンセント、これは皆さんよくご存知の言葉ですよね)なんてなかった!?つまり、なぜ痛いのか?なぜ動かないのか?なぜこの治療を行うのか?なぜこの薬が必要なのか?なぜこのリハビリを行うのか?「なぜ」が説明されてないのです。

今でも、患者さんを診察していてよく聞く言葉が、「他の整形外科に行ったら、骨は大丈夫と言われたんですが」。皆さんきっとそんなことは分かっとるわい!って、言いたいでしょう。どんどん言えばいいです。「何で痛いか聞きに来とるんじゃ!」と。例えば、車屋さんで「・・・を交換しておきましたから」って言われて、「なんでやねん、勝手な金取んなや」ということですよね。最近、病院を株式にすることを許可し、経営をもっとうまくやって行こうだの言われてますが、まあまずは患者さんが何を求めておられるのかということから医者だけでなく、職員全員きたえ直さないと、全く意味ないですな。それは、医療サービスだけでなく、他のサービス業も同じことだと思います。

箕山クリニック& DOCTOR'S FITNESSでは、私ドクターのみならず、スタッフ全員がとにかくこの「なぜ」ということを大事にしています。理学療法士は、リハビリでなぜこういったことを行うのか、トレーナーは、なぜこのトレーニングを行うのか、説明できる能力をスタッフ全員持っています。逆に、そうやって勉強してきたスタッフしか雇っていないと言ったほうが分かりやすいでしょうか。つまり、きちんと科学的根拠(最新のことも含め、きちんと論文で発表されていること)をもとに、皆さんに指導させていただいております。皆さん分からないことはどんどん聞いてください。ただ、我々も分からないことは、はっきり分からないと言います。分からないと言える勇気があるということは、それだけ勉強しているということであり、自信があるのです。

先日テレビで、「半身浴がいいって聞くから私もやっている~」「酢がいいって言うから飲んでる~」って芸能人が言ってましたが、その後「でも、なんでいいのか分からない~」ですって。皆さんもこんなことのないよう、何事もなぜこうするのかということを考えて行っていきましょう。特に、学生の皆さんはなぜこの勉強をするのか、なぜ自分は将来こういった仕事をしたいのか、といったようにきちんと目的をもって将来に向かってほしいと思います。

ところで、今回のコラムで医療サービスのことについて少し触れました。気づかれている方もおられると思いますが、サービスどうのこうのを語っておいて、私は患者さんに対し患者様とは言わないですよね。これも私の拘りなので、いずれコラムで語りたいと思います。

では、また次回。

リーダーシップ・エリート

今回は少し医学や私事と離れたお話しをしてみたいと思います。

アメリカはイラクに大量破壊兵器が無かったことを認め、イラク戦争の大義が問われる昨今、それはアメリカ大統領選挙の格好のネタにもなっている。この戦争を支持した日本でも、当然のように小泉首相が野党や自称評論家の普段何をやっているのかよく分からない批判家から批判を浴びている。この戦争が正しかったか間違っていたかと言えば、間違っていたであろう。しかし、アメリカが始めてしまったものを日本は支持すべきだったか支持すべきではなかったかと問われると、私ははっきりと「支持すべきだった。」と言う。正確に言うと、「支持するしかなかった。」と言う言葉になるでしょう。アメリカがイラクを攻撃した理由は様々なことが考えられるが、そのなかに石油の利権を得ようとしたことも理由の一つである。ここで、あらためて大東亜戦争(第2次世界大戦とは言わずに、敢えてこのように言わせていただきます。)は何故おきたのか、日本はなぜあの戦争に入っていかなければならなったのかを復習すると、最大の理由はABCDライン注)を引かれたためなのです。つまりイラク戦争においても同様に、資源のない日本は世界から孤立してはならなかった。意地を張って世界番長アメリカと対抗するような事を?二度と繰り返してはならなかったのです。資源と軍を持たない日本は、(実は日本のすごさを認めているからこそ何とか押さえつけようとしている)アメリカについていくしかなかったのです。「日本は日本独自の方法で何とかできたはず」とか「日本は自立しなければならない」とか当たり前のことばかり言って批判している人たちに言いたい。じゃあ、具体策はあるのか?実際それが行えるのか?あれこれ言っている人たちに実行力や責任なんて全くないと思います。

言っている事はいつも正しいと私も尊敬する小沢一郎氏が、よく言うのは「今の日本にはリーダーが欠けている」と。自分自身で考えて、自分自身で決断して、自分自身の責任でやるというリーダーシップが必要だと。(そういう小沢一郎氏自身は民主党代表にもならず、いつも人を操るばかりで一向に自分で実行に移そうとはしない口だけ番長なのだが。)同じようなことを伊藤忠商事代表取締役社長の丹波宇一郎氏も言っている。彼のエリート社員を育てるというのが私は好きで、同じように私も職員にエリート教育をしているのですが、彼のエリートというのは何も東大出身とかそういうことではなく、エリートの3つの条件というのがある。それは、1.自分で企画を立てることができる。つまり創造力を持つこと。2.その企画を実行できること。つまり、アカンタビリティー、説明責任、説明能力があること。3.企画を実現し、実行して成功したときには問題がないが、失敗したときに責任を取らなければならない。(「達人・田原総一朗が引き出す経営の極意」より)この3つの条件を備えているものがエリートであると彼は言っている。

さて、口だけ達者な野党や批判家がリーダーでなければエリートでもないことはお分かりでしょうが、今の日本にリーダーシップがあってエリートであるようなこの国を任せられる人はいるのだろうか?小泉首相は、実行力がありリーダー・エリート的な部分もあるが、本当はシャイなのだろうかいつも説明が不十分である。本人のなかではきちんと理由をもって改革を行っているのだろうが、我々国民には私の拘り語である「なぜ」が見えてこない。そのため、なんとなくリーダーシップに欠ける。一番期待できそうな石原慎太郎氏ももう年である。ん~、と考えて私が思いつくのは長嶋茂雄氏(大阪出身でアンチ巨人の私だが、この人が偉大であることに変わりはない)、あとは若くても松井秀喜氏や井上康生氏などもいいか。実行力・責任感がありリーダー・エリートと言えるかなと頭に浮かんでくる面々はスポーツ選手になってしまうのですが、どうでしょうか。どうせ政治なんて官僚が仕切っているのですから、官僚がバカか賢いか判断できれば、あとはリーダーシップがあって責任感のある人が首相であればいいのかなと思うのですが。

今回は医学と全く関係ない話を書いてしまいましたが、結局何を言いたかったというと、やっぱりスポーツ・スポーツ選手はすごいということを言いたかっただけなのです(笑)。

ところで、批判ばかりしている人たちを今回批判した私自身は、リーダーシップがありエリートなのでしょうか!?

ではでは。

注) America(アメリカ)、Britain(イギリス)、China(中国)、Dutch(オランダ)という東アジアに権益を持っていた国々が、日本の拡大政策を牽制するために、日本への石油などの貿易を制限した。